本文
数ヶ月にわたり雪に覆われる奥会津。
農作業が休みとなる冬期間に、人々は暮らしで使う道具を作る「ものづくり」を行ってきました。
藁(ワラ)による縄や草履をはじめとして、スゲによる雨ミノや腰カゴ、マタタビによるザルなど、
日用品を自らの手で作る文化が縄文時代より人々の手によって伝えられてきました。
「雪が降るのが待ち遠しい、雪が降ればものづくりができるから」
雪国奥会津の人々の生きがいとも言えるものづくりを大切にし、
暮らしの中に息づくものづくりの文化を後世にも伝えていく「生活工芸運動」をご紹介します。
生活工芸運動は昭和56年に始まりました。
雪国の伝統的なものづくり文化を大切にし、後世に伝えていくことについて町を挙げて取り組む運動です。
昭和61年にはものづくりの拠点施設として生活工芸館を建設し、編み組を始めとして、陶芸、木工、染色、織物などを伝承しています。
生活工芸運動がはじまると同時に、「三島町生活工芸運動憲章」が制定されました。
奥会津編み組細工は、奥会津地方の山間部で採取されるヒロロ、山ブドウやマタタビなどの植物を素材とする編み組細工で、山間地における積雪期の手仕事として、日常の生活に用いる籠や笊などが伝承されてきました。
福島県大沼郡三島町を主な産地とし、ヒロロ、山ブドウ、マタタビ素材とした手さげ籠、抱え籠、肩かけ籠・菓子器・炊事用具などが作られています。自然素材を用いた堅牢で素朴な手編みの良さが特徴です。
地域に住み続けている高齢者を中心に一つ一つ丁寧に制作しています。
1980年代に実施された荒屋敷遺跡発掘調査において編み組製品が出土されました。
荒屋敷遺跡は縄文時代晩期の遺跡であり、現在の「奥会津編み組細工」のヤマブドウ細工で用いられる2本飛び網代編みという技法により編まれた製品でした。三島町では縄文の技は数千年もの間、その技術や技法はすたれることなく今に受け継いでいることが証明された瞬間でした。このことが生活工芸運動の重要性をさらに実証しています。
奥会津編み組細工を始めとする生活工芸品を取り扱う施設。編み組細工教室を始めとしたものづくり教室や簡単な編み組体験や木工体験ができます。木工機械とその指導員による指導もできます。
住所 | 大沼郡三島町大字名入字諏訪ノ 上395 |
---|---|
電話番号 | 0241-48-5502 |
営業時間 | 9時~17時 |
定休日 | 月曜日(月曜が祝日の場合はその翌日) |
三島町生活工芸館では毎年6月に「ふるさと会津工人まつり」を開催。
「作り手から使う手へ」をコンセプトに全国から180店を超えるものづくりをする工人の店が出店する三島町の一大イベント。生活工芸館前の楢林の中に編み組細工によるカゴを始めとして、染色や木工、ガラス細工、陶芸など様々な品物が集まります。
雪国の伝統文化を体験できる1年間のプログラム
ものづくり体験や農作業体験など1年間三島町で生活しながら学ぶことができる生活工芸アカデミー2017年から開講しています。