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移住者インタビューその9


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更新日:2019年11月27日更新 印刷ページ表示

その9 時任 真由美さん(46歳)

名古屋市出身。
東京都で印刷会社オペレーターとして勤務していましたが、2015年から一年間、会津若松市で養蜂を学んだのち、2017年12月に三島町へと移住。
2018年4月には時任養蜂園として独立されました。

 

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巣箱の中を確認する内検という作業中

 

三島町へと移住したいきさつ
 

会津への移住を考えた最初のきっかけは猪苗代のマラソン大会でした。
会津若松市に宿泊しましたが、ゆったりした雰囲気で、何となく深呼吸できるいい場所だなと感じました。

また、同じ頃ミツバチの生態を取り上げたテレビ番組を観て、ミツバチにとても興味を持ちました。
今までハチを見てもただ「ハチが飛んでいるな~」くらいにしか思っていなかったのですが、一気にハチの世界に惹かれました。

会津地域は養蜂が盛んと知り、ひとまず会津若松市で一年間養蜂の研修を受けることにしました。
その後ご縁があり、三島町の桐の里産業株式会社の社員として、三島町で養蜂を始めました。
ただ、当初は会津若松市から通っていました。
巣箱のある三島町に通うよりもハチの近くに暮らしたいと思っていたところ、川井地区の空き家を紹介していただき、2017年12月に三島町へと住まいも移しました。
この数年間で都会、建物の中での仕事から養蜂家に、全く新しい世界へと飛躍しました。

 

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蕎麦の花でお仕事中の働きバチ

 

ミツバチのこと

ミツバチは本当に優秀で、どんな切り口からでもお話することができます。
私はもともと自然や環境などについて考える方ではありませんでしたが、ミツバチを通して自然環境や循環などについて考えるようになりました。

ミツバチはもっとも進化に成功した生き物の一つなのではないかと思っています。
ミツバチは花を傷つけることなく、花が与えてくれるミツをエサとしていただき、さらに受粉を促します。
例えば、イモムシのように葉っぱを食べつくしてしまうということはなく、他者に害を全く与えることがありません。
針で刺すというイメージがありますが、実はとても平和的な生き物です。
花はミツバチに来てもらえるように進化してきたとも言われ、自然が維持されていくにはちゃんと理由があるのだなと、ハチを通して学んでいます。

 

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蜜の詰まった巣

 

また、ミツバチは一匹では生きていけない、巣箱の中でone familyとして生きる社会的な生き物です。
一匹の女王バチが全てのハチを産みますが、彼女の役割は卵を産むこと。
赤ちゃんのお世話は先に生まれたお姉ちゃんたち=働きバチが行います。
働きバチの一生は1か月~40日ほどですが、ミツを集めるのは最終段階で、それまでは下積み期間です。
巣作りや巣の中の掃除、赤ちゃんのお世話など、まずは危険の少ない巣の中の仕事をします。
その後、巣の門番を経て、危険も伴うミツ集めの仕事に出かけます。
働きバチ同士でコミュニケーションをとり、どこに美味しいミツがあるのか教え合います。
ハチの数が増えると分蜂といって新しい女王バチを残し、古い女王バチと半分の働きバチが引っ越しをしますが、その際も働きバチが新しい巣の候補地を探索し、多数決で良い場所を決めます。
働きバチの総意が全てです。

 

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巣の中でお仕事している働きバチ

こういったハチの生態は本を読んで学んだりもしますが、実際にハチの様子を見て、やってみて、実感としてわかるようになります。 

 

養蜂家として

間違いなくいいものを作っているという自信はあります。
三島町には本当に素晴らしい蜜源があります。
会津地方の代表的蜜源の栃の木も多く自生しており、質の良い栃蜜が採れます。
5月半ば~末までが栃の時期で、その後アカシアやキハダなどが続きます。
昨年は猛暑や水不足もあり、養蜂家としての管理が不十分でミツバチが多く死んでしまいましたが、今年は今のところ順調にいっています。

 

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巣箱と栃の木

 

今後もっと生産量を増やし、販路を拡大していきたいと思っています。
印刷会社で働いていたので、パッケージデザインなどは前職を活かしながらできますが、営業など外に出ていくことは正直苦手です。

 

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自身でデザインしたイベント用大判バナー

 

それでも、町に良くしていただき、ふるさと納税の返礼品に使っていただいたり、イベントの際に声をかけていただけ、ありがたいです。
また、たまたまですが、三島町には養蜂家が一人しかいないのはラッキーだったなとも思っています。

先日、道の駅で「このハチミツをお土産にもらったのだけど、おいしいのよ~」と言って買ってくださる方がいらっしゃり、とてもうれしかったです。
町の方にも徐々に認めてもらえているのかなと手ごたえを感じています。
町の方が「美味しい」と認めてくれ、それが町外、県外の人々にも広まっていったらいいなと思っています。

また、町内のイベントを通して三島町に興味のある方と出会い、ミツロウを使った商品化の話が出たりと、少しずつ新しい可能性も生まれつつあるなと感じています。

 

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遠心分離機を使っての採蜜

 

まだ初めて数年。
うまくいかないこと、結果が出ないこともありますが、この道でやっていくと覚悟を決めて始めたので、1~2年やってうまくいかないからと言って辞めるつもりはありません。
無駄かなと思うことをやったりもしていますが、後々つながることもあると思うので、続ける/やめるの判断は難しいです。

それでも、大好きなミツバチに関わるこの仕事は本当に楽しいです。
一匹のハチが一生で集められるミツの量はティー<外部リンク>スプーン一杯ほど。
そのことを思とうとミツバチが愛おしくハチミツが貴重なものに思えます。
一人でやっているので、できることをやっていくしかありません。

このインタビューを通して、みなさんにミツバチのことをもっと知ってもらえたらいいなとも思っています。

 

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てわっさの里まつりに出店したときの様子

 

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